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偽 ・ ワーカホリック ...
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2005/12/20 (Tue)
もう、忘れたはずなのに

かみさまは まだ 俺の中にいて祈りを待っていた。


生まれ育った村を出て、それと同時にその村に根付いていた信仰を捨てた。
村の守り神の象徴である 生まれたときから成長するにしたがって新調し続けていた黒い腕輪を断ち割って 村からも、そのしがらみからも 縁からも関わりをきった。…その、つもりだった。

だがその決意も何も、この死を間近に見る一瞬の前では なす術もなく風に吹かれてしまう 塵の、如く。

「……ストラネス・ アバータ …」

間近に剣が迫る、その 一瞬の間に自分がした行動は
剣への防御でもそれへの切り替えしでもなく 生まれ育った村の、守り神への祈りのことば。
古の言葉らしい余り聞かない響きのことば。

その言葉が発せられて、一番驚いたのは自分自身で
気付いたときには鋭い剣の切っ先は自分の体につきささっていた。
皮を突き破り、肉を抉り 血管を断ち切る 白き剣の切っ先。
妙にリアルに剣先の動きがわかって、体が悲鳴を上げているのもわかった。
口から零れたのは、苦しみを耐える喘ぎだけだったけれど。


これが走馬灯というやつなのだろうか、 色々な記憶がフラッシュバックしていた。
それを押しやって今の現実を見る。
霞む目に力をこめて見据える。

目の前には得物を手に入れて得意げな、そして歓喜の色が隠せない人の顔が見える。
身震いがする。
それは同じ人間とは思えない狂気の表情だった。
静かに日々の暮らしを営んでいた故郷の村では一生拝めないような それ。
ひび割れる唇、 必死に口を動かす。

「ストラネス・アバータ … 我に、 ちからを 。」


手持ちの短剣を持ち返るだけで傷に激痛が走った。
その、もがく自分の様を楽しむかのように目の前の人間は笑みの形に顔をゆがめた。
余りにもその表情が癪に障った。
眉根を顰めて、それと痛みを押し隠すように崩れた表情を浮かべた自分。
何事かを目の前の人間がほざいているが何を言っているかはわからない。
元から言語の違う人間のようだった。それをふとしたことの様に思い出し――
前ふりもなしに短剣を持った手を振り上げよう ―― と!


「ストラネス・アバー …… 」


とッ。



いつのまに目の前の人間はもう一つ刃を取り出していたのだろう。
驚愕の表情に強張る自分の額には一本の刃が突き立ち、血の花が咲いていた。
せせら笑う目の前の人間の声が聞こえた。
言葉は通じずとも感情のそれは声の質からわかるのだなと 倒れ行く間に思った。





ストラネス・アバータ。



――かみさまは きっと 場所ではなく 自分の心の中にいるのだろう。

忘れたつもりで 実は確り、その 存在だけは 心の中に息づいていたのだと


ギリギリまで思い出せなかった。












血の海に、転がりて 浸り、 そのあつさとつめたさに 今を憂う。
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