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偽 ・ ワーカホリック ...
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2005/12/31 (Sat) きゃっつ。


「遠距離攻撃、苦いチョコレート、止まった時計」




苦いチョコレートを食べる。
甘く無い、だが シブいわけでもないチョコレートは何だか変な味だった。
カカオの味、とはこういうものなのだろうかと冷たい手に息を吹きかけながらそう思った。

西洋の金持ちが愛する高いチョコレートって甘くないらしい。
不純物を含まないカカオ100%の高級チョコレート。
それはどういう味なのだろうと、安っぽいただ砂糖の変わりに化学薬品をつなぎにしたの苦いチョコレートを食べながら思った。

「人は知らないからこそ想像を膨らませる ――だ。知って得することなんて少なぇしな。」

自分、イイコトを言ったと満足した様に呟きながら包み紙をくしゃりを丸めて胸ポケットにしまおうとした。
すると、其処には何か硬い感触があった。
そういえば昨日、 懐中時計を貰ったのだ。唐突に思い出した
それは時計の目的だろう、時を刻まぬ 針が止まった時計だった。
何だこれ、と思い貰ったときに胸ポケットにしまった侭にして、そのままだったのだ。
うんともすんとも言わないそれを長ベンチに座った侭胸ポケットから取り出した。
余り鮮やかではない蛍光灯の光に跳ねて、それは 鈍く光る。
さび付いた金属はみすぼらしく、そして古枯れて見えた。

「 ――にしても何なんだ、コレ。見た目 古臭ェけど骨董品でも無いだろうし。ゴミか? ――って事はなんかの嫌がらせか?」

自分のしたい事とするべき事を見失ってぐだぐだと、ズルズルと日々を過ごす自分への遠まわしな嫌味なのかと思ったのだった。
チ、と舌打ちを一つ。

「甲斐性の無いヤツ。こんな回りくどい ことしなくても直接くればいいだろうに。 」

正面から何かを言われたって、聞き流すか反発するかだろうと 自分でも思っているのだがあえて反対のことを口に出した。
それは口先だけの弱々しい虚勢だった。

「 ぁー ……。 ―― でもこんな俺に言われればおしまい、か ――。」

「……ばっかみてェ。 あいつも 、 …俺も。 」

その事に気付いたら、全身から力が抜けた。阿呆らしくて。
くッ、と 喉奥で笑い掌で目を覆って、ずるずると自重に任せていたら頭が座っていた場所まで来て、 ベンチから尻がはみ出た。
尺取虫みたいな格好をした自分は そんな格好をしていなくてもどうせぐずぐずで格好悪いのだけれど。
其処まで考えて、でもそれ以上は考えずにわかったふりだけして。
しかもそんな自分を自分自身が一番見ていないことに気付いた。
でも、 そんなに馬鹿な自分を見ていてくれて、しかも 見透かしてくれているのだろう 誰かが居ることにも気付いた。
何だかとてもとても情けなくて、

「あ ----------------------!」

意味もなく叫んだ。
存在の意味があるのだろうか、この懐中時計には。
そしてそれをおくる意味があるのだろうか、この懐中時計には。
―――だが、意味がある生き方なんて知らない自分にはそれが丁度いい気がして大声を出してすっきりした所為もあるのか自然と笑えてきた。
意味も、無く。
やがて力尽きて、しりが地べたについて、そうしていると頭だけがベンチに乗っている格好になった。
ふと額につめたい感触があることに気付いた。
それは、やはりというか、お約束というか 兎も角あの懐中時計だった。
時計を覆う錆が目に入る。

酸素と金属がくっついて錆ができて、 でもそれを自分達は見栄えが良くないからと削る。
酸素と金属を無理矢理引き剥がすのだ。
自分達の身は削れないのに、容易く削ってしまう。
自分達は膿や淀みを背負ったまま生きていかねばいけない そんな自分のかわりに、するみたいに。
口を開けた侭そんな事を考えて、そしてややあって息をつけば …漸く口を閉じた。
口を閉じると、其処には忘れかけてたチョコの存在があった。

「…………クッソ、苦ェな。」

口に広がるチョコの味は、もう後味のそれであったけれど 舌に残る苦さだった。
ほろ苦い、どころではない。
だが甘くは無いからそれだけは何だか 褒めてやる、と偉そうにも思った。
ふと懐中時計を見ると、それを持つ指にチョコがついていた。
それを舐め、

「…………やっぱ苦ェな、 クソ…。」

思い切り顔を顰めて、そしてそれから深呼吸をした。
阿呆みたいに静かな空気は全身を駆け巡って、少しだけからだが元気に動ける様な気がした。


自分がもし錆だらけでもまだ動ける気がした。










遠まわしの、 毒みたいな 魔法みたいな あいつの遠距離攻撃は
悔しいながらも俺の脳ミソに クリーンヒットだった。
















ノックダウン!
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